昨年10月にお越し頂き、東日本大震災の現実を聞かせてくださった笹原社長。
大好評に終わった昨年に引き続き、今年も様々なことを話してくださいました。
前回同様、社員全員が涙をポロポロこぼし聞いていたのは言うまでもありません。
多くのセミナーや講演会で全国各地を駆けまわりながら、地元である岩手に帰られた後は
現場に走る、走る、走る…。そのなかで感じたこと教わったことを、ひとつひとつ丁寧に
紐解きながら話されました。
悲しいと感じる心こそ大切であり、後悔を覚えることは発見であり成長である。
そして人は必ず元に戻ることを忘れないで欲しい、どんな死を迎えたかではなく
どう生きてきたかが大切なのだと、力強く語ってくださいました。
納棺の時間や、私たちがご遺族からお話しを伺っている時間というのは、たとえ身体は
なくなっても、故人とのつながりがあるのだと認識する重要なひととき…なのだそうです。
そのようなことを、私は言って頂くまで考えたこともありませんでした。
故人様も、残していく人のことを心配しながら亡くなっていかれるんです。
そう、笹原社長はおっしゃいました。納棺師では珍しく『看取り』を依頼される方も多く
なってきているそうです。『復元納棺師』だからこそのご依頼ではないだろうかと感じつつ
全身で聞きました。悲しみは減りもしなければゼロにもならない。けれども、その感情が伝えて
いるのは『故人が大切な存在だった』ことでもあり『死から生を感じられる』こと、だそうです。
私たちがご遺族から話を伺っている時間は、未来への一歩を踏み出すことにつながっているん
ですよ…と言って頂き、文章作成に悩んだり・どんな声をかければいいのか迷ったりしている
社員にとって、応援の言葉になったのではないかと感じました。
故人様は、どんな表情でお別れをしたいのだろう…それを考えながら、その人らしいおもかげを
取り戻すよう全力を尽くされる笹原社長。それは、その人らしいお礼状を作りたいと悩みながら
文章と向き合う私たちとかさなる部分がありました。
約2時間の講演後は、マコセキッチンで懇親会。
笹原社長と菊池室長を迎え、様々な話に花が咲きました。
夢ハウスおおつちで過ごす子供さんたちのことや、三途の川の入口で待ち構えているという
『だつえばあ』の話などなど。話題が尽きることはありませんでした。
愛する家族を、思いがけず震災というもので失った子供たち。
そのガラスのような心に刺さってしまったトゲは、するどくてかたくて大きなものだったでしょう。
それを少しずつ柔らかくして…抜ける日はなくても、いつかそのトゲが小さくなっていくことを
願い活動している笹原社長。「涙が出そう」と言いながら懸命に伝えてくださったその想いに、
感謝するばかりでした。
人は一人ではない、誰もが悩みつつ失敗をくりかえしつつ前に進んでいる。
それは、子供でも大人でも、ご遺族でも葬儀にかかわる方でも、そしてこの仕事に携わらせて
頂く私たちでも同じなのかもしれません。