どれだけ多くのご遺族に出会っても、どれだけ経験を積んでも、受話器を手にする時は緊張感が高まります。愛する方を亡くされた今、どのようなお気持ちなのだろうか…大切な思い出を私に聞かせてくださるだろうか…1日に何度もそんな不安が胸をよぎるなか、ご遺族が語る故人様への思いに目頭を熱くします。
涙で声を詰まらせる方、言葉を選びながら、ゆっくりと記憶を紐解いていく方、信じたくない現実を懸命に受け止めようとお話しくださる方。ご遺族と向き合うたびに、悲しみのかたちはすべて違うのだと気付きます。
1本の電話と1枚の会葬礼状でつながっている私達にできることは何なのか…グリーフサポートを学ぶことで、その答えが少しずつ見えてきたような気がします。
ご遺族が安心して話せるように語りかけることから始まり、言葉の裏にある思いに耳を傾け、文章を綴る。一見何気ない、この限られた時間が、ご遺族の心持ちに変化を与えるという大きな責任を担っています。
喜びと悲しみを繰り返す人生。どなたにもある唯一無二のドラマに思いを馳せる瞬間が、いつか笑顔になるための道しるべなのだと信じています。
オペレーターにとって、『マコセアワード』は、自分に与えられた使命を改めて考える大きな機会です。
どれひとつをとっても忘れられない取材。その中で、最も記憶に残る1枚を選びました。
いつの日か、ご遺族が悲しみを癒やせることを願い、これからも1枚のお礼状に全身全霊を捧げます。